福祉用具専門相談員とは?介護保険で果たす役割と資格の全体像

福祉用具専門相談員とは何か、介護保険での役割と資格の全体像を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が厚生労働省や都道府県などの公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。指定講習の内容や日程、受講料、介護保険の制度は都道府県や講習事業者、時期によって変わることがあるため、最新の情報はお住まいの都道府県や講習を行う事業者、厚生労働省の公式サイトで確認してください。

求人票で「福祉用具専門相談員」という職種名を見かけて、どんな仕事なのか気になった方も多いはずです。

結論から言うと、福祉用具専門相談員とは、介護保険で福祉用具を使う人に合う用具を一緒に選ぶ専門職です。車いすやベッドなどを借りたり買ったりする時に、使い方まで助言します。

この記事では、仕事内容となり方、ケアマネとの違いまで、これから目指す人が最初に知っておきたいことを一つずつお話しします。

目次

「福祉用具を売る人」だけじゃない?3つの問いで見る福祉用具専門相談員

先に結論

福祉用具専門相談員は「誰に」「何を」「どの制度の中で」の3つで見ると、仕事の輪郭がはっきりします。介護保険の福祉用具貸与・販売の事業所に置くことが決められている、相談と助言の専門職です。

『福祉用具専門相談員って、要するに介護用品の営業さんでしょ?』と思っていませんか。

実は、それだけだと半分しか合っていないんです。用具を届けるのは仕事の一部で、その前後にある相談や計画、見直しのほうに専門職としての中身があります。

まずは3つの問いで、福祉用具専門相談員とは何者なのかを早見表にしてみました。

問い答え例えばこんな場面
誰に介護保険を使って自宅で暮らす要介護・要支援の人と、その家族退院して自宅に戻る前に、寝起きのしやすさを家族と相談する
何を福祉用具の選び方、使い方、点検、見直しの助言手すりの位置や歩行器の高さを、本人の動きを見ながら合わせる
どの制度の中で介護保険の福祉用具貸与と特定福祉用具販売ケアプランに沿って福祉用具の計画を作り、ケアマネに渡す
福祉用具専門相談員とは何かを、誰に・何を・どの制度の中での3つの問いでまとめた図解

国の説明をかみくだくと

厚生労働省は、福祉用具専門相談員を「本人の希望や心身の状況、環境を踏まえて福祉用具を選び、自立支援の観点から使い方も含めて適合・助言する専門職」と説明しています。

少しかたい言い方ですよね。日常の言葉にすると「その人の暮らしに合う道具を一緒に選んで、ちゃんと使える状態にするまで付き添う人」です。

例えば、ベッドから起き上がるのに時間がかかる人がいたとします。福祉用具専門相談員は、ベッドの高さや手すりの位置、部屋の広さまで見てから、どの用具がいいかを提案します。

「売る人」に見られやすいのはなぜ?

福祉用具専門相談員の多くは、福祉用具のレンタルや販売をする事業所で働いています。会社としては用具の貸し出しで成り立っているので、営業の顔が目立ちやすいんです。

ただ、介護保険の基準では、目録などの書類を見せて機能や利用料、全国平均の貸与価格を説明することが決められています。同じ種目で機能や価格帯の違う複数の用具を示すことも、基準に書かれています。

よくある思い込み

「高い用具をすすめるのが仕事」というのは誤解です。複数の選択肢を並べて、本人と家族が納得して選べるようにするのが本来の役目です。

介護保険の中での位置づけ

配置が決まっている専門職

介護保険で福祉用具を貸したり売ったりする事業所には、福祉用具専門相談員を常勤換算で2人以上置くことが基準で決められています。介護保険の福祉用具サービスは、この専門職の助言を受けて行うものとされています。

介護保険法施行令では、介護保険の福祉用具の貸与や販売は、福祉用具専門相談員から専門的な助言を受けて行うものとされています。

つまり、介護保険の福祉用具サービスには、この職種が欠かせないということなんです。

事業所に何人いるの?

指定福祉用具貸与事業所と、指定特定福祉用具販売事業所には、それぞれ常勤換算で2人以上の福祉用具専門相談員を置く決まりがあります。

国の資料では、令和6年の福祉用具専門相談員の従事者数は35,861人とされています。決して小さな職種ではありませんよね。

どんな資格の人が働いている?

同じ資料で、働いている福祉用具専門相談員の資格の内訳も公開されています(令和6年10月1日現在・複数回答)。

資格の種類割合
指定講習の修了者84%
介護福祉士11%
その他の有資格専門職(社会福祉士、理学療法士、看護師など)5%

8割強が指定講習を修了した人です。国家資格がなくても、講習から入る人が多い職種だと分かります。

出典

数字は厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会 資料「福祉用具・住宅改修」によるものです。

福祉用具専門相談員の仕事内容は?相談から見直しまで

仕事は「届けて終わり」ではない

福祉用具専門相談員の仕事内容は、相談と選定、計画づくり、納品と使い方の説明、使い始めてからのモニタリングの4つが軸です。用具を届けた後も、合っているかを確かめ続けます。

『具体的に毎日何をしているのか、いまいちイメージできない』という声はよく聞きます。

ここでは介護の現場で働く福祉用具専門相談員の仕事を、利用者さんとの関わりの順に並べてみますね。

福祉用具専門相談員の仕事の流れ
  1. ケアマネジャーから相談を受け、利用者さんの自宅を訪ねて体の状態や住まいを聞き取る
  2. 機能や価格帯の違う複数の用具を示して、メリットと使い方を説明する
  3. 目標や使う用具、見直しの時期を書いた福祉用具サービス計画を作り、本人の同意をもらう
  4. 用具を点検して届け、体に合わせて調整し、実際に使ってもらいながら使い方を伝える
  5. 使い始めてから様子を確かめ、結果を記録してケアマネジャーに報告する
福祉用具専門相談員の仕事内容を、相談・計画・納品・モニタリングの順に並べた図解

計画を作って、ケアマネと共有する

福祉用具専門相談員は、福祉用具貸与計画(販売の場合は販売計画)を作ります。目標や具体的なサービス内容、モニタリングの時期を書き、利用者さんと担当のケアマネジャーに渡します。

計画づくりについては福祉用具サービス計画の中身で詳しくまとめています。

使い始めてからの見直しも仕事

令和6年度の介護報酬改定で、モニタリングの結果を記録してケアマネジャーに渡すことが決められました。

訪問した時に、こんな会話になることもあります。

「歩行器にはだいぶ慣れたんですが、玄関の段差だけ怖くて」
「では、段差の所にスロープを置けるか、ケアマネさんと相談してみますね」

こうした小さな困りごとを拾って、別の用具や調整を提案するのもこの場面です。1日の具体的な動きは福祉用具専門相談員の仕事内容で場面ごとに紹介しています。

扱う福祉用具は「借りるもの」と「買うもの」

介護保険で借りられる福祉用具は、車いすや特殊寝台、手すり、スロープ、歩行器など13種目です。

一方で、腰掛便座や入浴補助用具のように、人が使ったものを再利用しにくい用具は購入の対象になります。種目ごとの違いは貸与13種目と販売の種目にまとめました。

「借りるか買うか」を選べる用具もある

2024年4月からは、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖の4つは、借りるか買うかを選べるようになりました。

この時、福祉用具専門相談員は、それぞれのメリットとデメリットを説明します。医師やリハビリの専門職の意見、本人の体の状態も踏まえて提案するのが役目です。

『杖くらいなら買ったほうが安いのでは?』と家族に聞かれる場面も、これから増えていくはずです。

1日の中で過ごす場所

福祉用具専門相談員の1日は、事務所、利用者さんの自宅、用具を置く倉庫を行き来することが多いです。

午前は事務所で計画書を作り、午後は自宅を回って納品やモニタリングをする、という組み方がよく見られます。時間の使い方の例は福祉用具専門相談員の1日で紹介しています。

ケアマネや介護職とはどう違う?チームの中の立ち位置

役割は「道具の専門家」

ケアマネジャーが暮らし全体の計画を立てる人なら、福祉用具専門相談員はその計画の中で道具の部分を受け持つ専門家です。直接の介護はしませんが、介護する人の負担を道具で軽くする立場にいます。

介護の仕事にはいろいろな職種があって、違いが分かりにくいですよね。

福祉用具専門相談員が一緒に動くことが多い職種と、それぞれの役目を比べてみましょう。

職種主な役目福祉用具専門相談員との関わり
ケアマネジャー(介護支援専門員)ケアプランを作り、サービス全体を調整する相談を受け、福祉用具の計画とモニタリングの結果を渡す
介護職食事や入浴、排せつなどの介護をする介助しやすい用具や使い方を一緒に考える
理学療法士・作業療法士体の動きや生活動作の訓練をする動きに合う用具や調整の意見をもらう
家族日々の暮らしを支える使い方を伝え、困りごとを聞き取る

サービス担当者会議では、福祉用具専門相談員も計画を説明する立場で出席します。

例えば会議の場で、こんなやりとりがあります。

「立ち上がりがつらそうなので、ベッドの手すりの位置を変えてみませんか」
「それなら、夜にトイレへ行く時も安心ですね」

ケアマネとの違いは福祉用具専門相談員とケアマネジャーの違いで、役割の分け方をもう少し詳しく見ています。

働く場所はどんなところ?

主な職場は、介護保険の福祉用具貸与の事業所と、特定福祉用具販売の事業所です。両方を同じ事業所で行っているところも多くあります。

ほかに、福祉用具のメーカーや介護用品の販売店で、相談の窓口として働く道もあります。職場ごとの違いは福祉用具専門相談員の職場で比べています。

福祉用具専門相談員が受け持つこと
  • 用具の選び方と使い方の助言
  • 福祉用具サービス計画の作成
  • 点検と調整、使い始めてからの見直し
福祉用具専門相談員が受け持たないこと
  • ケアプラン全体の作成
  • 食事や入浴などの直接の介護
  • 診断やリハビリの指示

福祉用具専門相談員になるには?2つのルート

なり方は「講習」か「国家資格」

福祉用具専門相談員は国家資格ではありません。都道府県知事が指定した講習を修了するか、看護師や介護福祉士など決められた国家資格を持っているか、どちらかでなれます。

『資格がないと応募もできないのかな』と不安になる方もいますよね。

実はルートは2つあって、国家資格がない人は指定講習を受ければ大丈夫なんです。

ルート対象必要なこと
指定講習を修了する資格や経験を問わず、これから目指す人53時間の講習と修了評価(1時間程度)を受け、修了証明書をもらう
国家資格を持っている保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士講習を受けなくても福祉用具専門相談員として認められる
福祉用具専門相談員になる2つのルートとして、指定講習の修了と国家資格の保有を並べた図解

指定講習は53時間+修了評価

現在の指定講習は、2025年4月から53時間のカリキュラムになっています。福祉用具の知識だけでなく、介護保険の仕組みや体の理解、安全利用まで学びます。

「50時間」と書かれた情報を見かけたら、それは2015年4月からの旧カリキュラムの話です。講習の受け方は指定講習の内容と選び方、資格の全体像は福祉用具専門相談員の資格で紹介しています。

講習で学ぶ科目は、国の告示で次のように決められています。

科目時間
福祉用具と福祉用具専門相談員の役割2時間
介護保険制度等に関する基礎知識4時間
高齢者と介護・医療に関する基礎知識16.5時間
個別の福祉用具に関する知識・技術17.5時間
福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識及び総合演習13時間

計画づくりの演習だけで10時間あるのが特徴です。『介護の経験がなくてもついていける?』と心配な方も、介護の知識がない人を想定して組まれた講習なので安心してください。

初任者研修だけではなれない

以前は介護職員初任者研修やホームヘルパー2級の修了者もなれましたが、2015年4月の改正で対象から外れました。

いまは初任者研修だけでは福祉用具専門相談員になれません。講習なしでなれる資格の詳しい条件は資格要件の解説で確認できます。

自分はどっち?ルートの確かめ方
  • 看護師や介護福祉士など、8つの国家資格のどれかを持っているか確かめる
  • 持っていなければ、お住まいの都道府県の指定講習事業者の一覧を見る
  • 初任者研修だけの場合は、指定講習が必要だと覚えておく
  • 講習の日程や受講料は、講習事業者の公式サイトで最新を確かめる

講習の日程や形式、受講料は講習事業者によって違います。最新の情報は、お住まいの都道府県や講習事業者の公式サイトで確かめてみてください。

資格は入社後に取る道もある

求人の中には「入社後に資格取得可」としている職場もあります。先に講習を受けるか、働きながら取るかは、どちらも選べる道です。

求人票の見方や比べるポイントは福祉用具専門相談員の求人の探し方で紹介しています。

こんな人に向いている仕事

福祉用具専門相談員は、人の話を聞くことと、道具や住まいを観察することの両方が求められます。

向いているかのセルフチェック
  • 相手の困りごとを、急かさずに最後まで聞ける
  • 段差や部屋の広さなど、住まいの様子に目が向く
  • 用具の仕組みや調整の仕方を覚えるのが苦にならない
  • ケアマネや家族に、分かりやすく説明するのが好き
  • 車で利用者さんの自宅を回る働き方に抵抗がない

当てはまる項目が多いほど、仕事のイメージと合いやすいはずです。やりがいや大変なところは福祉用具専門相談員に向いている人で詳しく紹介しています。

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福祉用具や介護の仕事を探している方へ

福祉用具専門相談員の求人は、福祉用具のレンタル事業所や販売店、メーカー、介護施設など職場によって仕事の中身が変わります。資格を入社後に取れる求人もあります。まずは介護・福祉専門の求人サイトで、職場の種類や資格の扱い、運転の有無などの条件を見比べてみましょう。

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福祉用具専門相談員についてよくある相談

相談の選び方

福祉用具専門相談員を目指す人からよく出る相談を3つ選び、国や都道府県の公開情報で分かる範囲で答えています。

国家資格を取ってから長く現場を離れていても大丈夫?

講習なしでなれる国家資格を10年ほど前に取ったものの、実務の経験がないまま。子育て中だけれど福祉用具専門相談員に転職できるか、という相談です。

対象の国家資格を持っていれば、講習を受けなくても福祉用具専門相談員として認められます。資格の取得時期による制限は、法令には書かれていません。

ただ、福祉用具や介護保険の制度は改定で変わってきました。働き始めてからは、自己研鑽に努めることも基準で決められています。

『ブランクがあるから不安…』という場合は、研修の機会がある職場かどうかを面接で聞いてみてください。

指定講習の修了は、ほかの仕事では役に立たない?

福祉用具専門相談員の講習を受けたけれど、この仕事以外では関係ないのか、という相談です。

指定講習の修了で名乗れるのは、福祉用具専門相談員という職種です。ほかの介護職の資格の代わりにはなりません。

一方で、講習では介護保険の仕組み、体の変化、介護技術、住環境と住宅改修まで学びます。介護の仕事を続ける中で、家族から用具の相談を受けた時に役立つ知識は多いはずです。

無資格・未経験からはどうやってなる?

資格を何も持っていない状態から、福祉用具専門相談員になる方法を知りたい、という相談です。

無資格なら、都道府県知事が指定した講習を修了するのが基本の道です。法令上の受講資格の定めは見当たらず、介護の経験がない人も想定された講習になっています。

先に講習を修了してから応募するほか、入社後に資格を取れる職場を探す方法もあります。未経験からの進め方は未経験から福祉用具専門相談員に転職するにはで順番に紹介しています。

よくある質問

福祉用具専門相談員とは、どんな仕事ですか?

介護保険で福祉用具を借りたり買ったりする人に、合う用具を選ぶ助言をし、計画を作り、届けて使い方を伝え、使い始めてからも見直す仕事です。

福祉用具専門相談員は国家資格ですか?

国家資格ではありません。都道府県知事が指定した講習の修了者か、看護師や介護福祉士など決められた国家資格を持つ人がなれます。

指定講習は何時間ですか?

2025年4月からは53時間のカリキュラムで、別に1時間程度の筆記の修了評価があります。50時間は2015年4月からの旧カリキュラムです。

指定講習はオンラインで受けられますか?

厚生労働省はオンラインでの講習の実施を差し支えないとしています。形式は講習事業者ごとに違うので、申し込み前に確かめてみてください。

福祉用具専門相談員の仕事内容で一番大事なことは何ですか?

用具を届けることより、その人の暮らしに合っているかを確かめ続けることです。使い始めてからのモニタリングと、ケアマネへの報告までが仕事に含まれます。

まとめ

この記事の要点
  • 福祉用具専門相談員とは、介護保険の福祉用具を選ぶ時に助言し、使い始めた後まで見守る専門職
  • 福祉用具の貸与・販売の事業所には、常勤換算で2人以上の配置が決められている
  • 仕事は相談と選定、計画づくり、納品と説明、モニタリングの4つが軸
  • なり方は53時間の指定講習の修了か、8つの国家資格の保有のどちらか
  • 初任者研修だけではなれない
  • 講習の日程や受講料は、都道府県や講習事業者の公式サイトで最新を確認
福祉用具専門相談員ガイド

福祉用具専門相談員ガイド 編集部

福祉用具専門相談員とは何か、資格の取り方と指定講習・修了評価、講習なしでなれる国家資格、仕事内容と職場、求人の探し方までを、これから目指す人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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