福祉用具専門相談員の研修|指定講習・養成研修・現任研修の違い

福祉用具専門相談員の研修を、指定講習・養成研修・現任研修の違いで解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が厚生労働省や都道府県などの公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。指定講習の内容や日程、受講料、介護保険の制度は都道府県や講習事業者、時期によって変わることがあるため、最新の情報はお住まいの都道府県や講習を行う事業者、厚生労働省の公式サイトで確認してください。

福祉用具専門相談員の研修を調べると、指定講習、養成研修、現任研修といろいろな言葉が出てきて、どれを受ければいいのか迷いますよね。

結論から言うと、福祉用具専門相談員の研修は「なるための講習」と「なった後の研修」の2つに分けると分かりやすくなります。なるために受けるのは、都道府県知事が指定した指定講習です。

この記事を読むと、研修の種類ごとの違いと、働き始めてからの研修やセミナーの探し方が分かります。

目次

福祉用具専門相談員の研修は2種類に分けて考える

先に結論

資格を得るための研修は「指定講習」です。働き始めてからは、事業所の研修や外部のセミナーで学び続けます。

『研修って、講習と同じ意味じゃないの?』と思う方も多いはずです。

実は、言葉はよく似ていても、受けるタイミングと目的がまったく違うんです。この記事では、次のように分けて考えます。

分け方研修の例目的受ける時期
なるための講習福祉用具専門相談員指定講習福祉用具専門相談員として働く要件を満たす働く前、または入社してすぐ
なった後の研修事業所の研修、外部の研修やセミナー知識や技能を身につけて保つ働き始めてからずっと
次の段階の研修福祉用具プランナー研修など専門性をさらに深める経験を積んでから
福祉用具専門相談員の研修を、なるための講習・なった後の研修・次の段階の研修の3段に分け、時期の順に並べた図解

国家資格があれば講習は要らない

保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士の資格がある人は、指定講習を受けなくても福祉用具専門相談員になれます。

それ以外の人は、指定講習を修了して修了証明書を受け取ることが要件です。資格の全体像は福祉用具専門相談員とは?で紹介しています。

「養成研修」と「指定講習」は同じもの?

正式な名前は「指定講習」

福祉用具専門相談員になるための研修は、法令では「福祉用具専門相談員指定講習」と呼ばれます。「福祉用具専門相談員養成研修」と呼ぶ人もいますが、受けるのは指定講習です。

『養成研修』という言葉で調べて、混乱した方もいますよね。

注意したいのは、介護の世界で「養成研修」というと、介護員養成研修を指すことが多い点です。初任者研修やホームヘルパー2級にあたる課程がこれにあたります。

名前中身福祉用具専門相談員になれる?
福祉用具専門相談員指定講習都道府県知事が指定した事業者が行う、53時間の講習と修了評価なれる(修了証明書の交付を受ける)
介護職員初任者研修130時間の介護員養成研修なれない(平成27年4月の改正で対象外)
ホームヘルパー2級(2級課程)以前の介護員養成研修なれない(経過措置も平成28年3月31日で終了)
よくある失敗

「養成研修を修了しているから大丈夫」と思い込み、初任者研修の修了証で応募してしまう。福祉用具専門相談員の要件になるのは、指定講習の修了か国家資格です。

詳しい経緯は介護職員初任者研修で福祉用具専門相談員になれる?で紹介しています。

なるための講習(指定講習)の中身

53時間と修了評価

現行の指定講習は53時間で、そのほかに筆記の修了評価が1時間程度あります。日程や受講料は講習事業者ごとに決められています。

指定講習は、介護分野の知識や技術を持たない人も受けることを想定して作られています。制度、からだと生活、福祉用具の知識、計画づくりを順番に学ぶ形です。

修了評価は、福祉用具専門相談員の入口にあたる講習なので、「列挙できる」「概説できる」くらいの理解を想定しています。修得が十分でない時は、補講などが行われることもあります。

5つの科目と時間

国が決めた科目と時間は、どの指定講習でも同じです。

科目時間
福祉用具と福祉用具専門相談員の役割2時間
介護保険制度等に関する基礎知識4時間
高齢者と介護・医療に関する基礎知識16.5時間
個別の福祉用具に関する知識・技術17.5時間
サービスの仕組みと利用の支援、総合演習13時間

最初の科目では、職業倫理の一つとして自己研鑽の努力義務も学びます。講習の段階から「なった後も学び続ける仕事」だと伝えられているんです。

講習事業者は、講習期間や受講料、欠席した時の扱いなどを運営規程で公開することになっています。最新の日程や受講料は、お住まいの都道府県や講習事業者の公式サイトで確認を。

講習の選び方は福祉用具専門相談員の指定講習とはで詳しく紹介しています。

なった後の研修はどんなものがある?

事業者には研修の機会を用意する義務がある

基準では、事業者は福祉用具専門相談員の資質を上げるために、福祉用具に関する適切な研修の機会を確保しなければならないとされています。

『資格を取ったら、もう勉強しなくていいの?』と思う方もいるかもしれません。

実は、働き始めてからの学びも基準に書かれているんです。事業者には研修の機会を確保する義務があり、福祉用具専門相談員には自己研鑽の努力義務があります。

研修の種類主な中身の例探し方
事業所の研修用具の使い方、計画書の書き方、同行での実地の学び入社時に研修の流れを聞く
外部の研修やセミナー制度の改定、新しい用具、安全利用業界団体や都道府県の案内を見る
メーカーや卸の勉強会個別の用具の特徴や調整のしかた事業所に届く案内を確かめる
次の段階の研修福祉用具プランナー研修など公益財団法人テクノエイド協会の案内を見る
なった後の研修を、事業所の研修・外部のセミナー・用具の勉強会・次の段階の研修の4つに分け、学べる中身を添えた図解

事業所の研修はOJTが中心

事業所の研修は、先輩に同行しながら覚えるOJTの形が多いです。例えば、こんな順番で任される範囲が広がっていきます。

同行で覚えていく流れの一例
  1. 先輩の納品や調整を横で見る
  2. 用具の説明の一部を自分で話してみる
  3. 計画書の下書きを作り、先輩に見てもらう
  4. モニタリングの訪問を一人で行い、記録を確かめてもらう

「次の訪問、説明のところだけ任せてもいいですか?」
「いいですよ。終わったら、言い漏れがなかったか一緒に振り返りましょう」

こんなふうに自分から声をかけると、学べる場面が増えていきます。

福祉用具プランナー研修とは

次の段階の研修として知られているのが、公益財団法人テクノエイド協会の福祉用具プランナー研修です。指定講習の講師になれる資格の一つにも挙げられています。

令和7年度の募集案内では、eラーニング48時間と、講義・実技・演習・認定試験の集合講習52.5時間で構成されていました。受講資格には福祉用具専門相談員として働いている(いた)人などが挙げられ、認定試験の日に関連業務の経歴が2年以上あることも条件です。内容は年度や実施機関で変わるので、最新の案内で確認を。

キャリアの広げ方は福祉用具専門相談員のキャリアアップで詳しく紹介しています。

自己研鑽の努力義務はいつから?

福祉用具専門相談員が自己研鑽に励み、知識と技能を身につけて保つよう努める決まりは、平成27年度の改定でできました。

令和6年度の改定に向けた国の取りまとめでは、今働いている福祉用具専門相談員への研修の機会を周知することも挙げられました。国の事業では、計画とモニタリングの進め方の手引きや、新人を育てるためのOJTマニュアルも作られています。

改定の中身は2024年度の介護報酬改定で福祉用具専門相談員の仕事はどう変わった?で紹介しています。

現任者向けの研修やセミナーの探し方

テーマを決めてから探す

福祉用具専門相談員のセミナーは、制度、用具、計画づくり、安全利用などテーマがいろいろです。今の困りごとから選ぶと、学んだことを現場ですぐ使えます。

いざ探そうとしても、どこで案内されているのか分かりにくいですよね。

まずは、今の自分がどの場面で困っているかを考えてみてください。そこから、学ぶテーマが決まってきます。

今の困りごと学ぶとよいテーマ
計画書の目標がうまく書けない計画の作成とモニタリングの進め方
選択制の説明に自信がない制度の改定と、貸与と販売の説明のしかた
ヒヤリとした場面があった安全利用とリスクマネジメント
住まいの相談に答えにくい住環境と住宅改修
新しい用具の調整が分からない用具ごとの特徴と調整
セミナーを選ぶ前に確かめたいこと
  • 誰が主催しているか(都道府県、業界団体、事業者など)
  • テーマが今の困りごとに合っているか
  • オンラインか会場か、受講の形
  • 費用と、事業所の研修として扱われるか
  • 資料を事業所に持ち帰って共有できるか

例えば、モニタリングで手すりの位置が合っていないと気づいた後なら、住環境のセミナーを選ぶと学びがすぐ生きます。

「この前の研修で、段差の手前に手すりを足す考え方を聞きました」
「それなら、次の訪問で一緒に見てみましょうか」

研修で学んだことは、事業所の仲間と共有すると現場全体の力になります。勉強会の後に、計画書の書き方を見直してみるのもいい使い方です。

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研修についてよくある相談

相談の選び方

研修や修了評価について、これから受ける人や働き始めた人から多い相談を選んで要約しました。

指定講習の修了試験は難しい?

指定講習の最後にある修了試験の難易度は高いのか、合格率はどのくらいか、という相談です。

修了評価は筆記で1時間程度、「列挙できる」「概説できる」レベルを想定したものです。合格率は公的な資料では出ていません。到達目標に届かない時は補講などが行われることもあるので、講義を丁寧に聞くことを大事にしてみてください。

入社したのに研修がなく、一人で回っている

福祉用具専門相談員として入社したが、研修らしい研修がなく、すぐに一人で営業に回っている、という相談です。

基準では、事業者は研修の機会を確保しなければならないとされています。困っていることを具体的に挙げて、同行の機会や勉強会を上司に相談してみてください。

働く環境を見直したい時は、求人票で研修の有無を確かめる方法もあります。

働く前に心構えを身につけたい

春から福祉用具専門相談員として働く予定で、心構えや勉強しておくことを知りたい、という相談です。

福祉用具専門相談員の講習では、守秘義務や説明責任、利用者本位といった職業倫理も学びます。まずは用具の名前と、計画づくりの流れをつかんでおくと、現場で話を聞きやすくなりますよ。

よくある質問

福祉用具専門相談員の研修は何を受ければいいですか?

資格を得るには、都道府県知事が指定した指定講習を受けます。介護福祉士などの国家資格がある人は、講習を受けなくても福祉用具専門相談員になれます。

福祉用具専門相談員養成研修と指定講習は違いますか?

なるための研修の正式な名前は指定講習です。介護員養成研修(初任者研修など)とは別物で、初任者研修の修了だけでは福祉用具専門相談員になれません。

働き始めてから研修を受ける義務はありますか?

事業者には研修の機会を確保する義務があり、福祉用具専門相談員には自己研鑽の努力義務があります。努力義務は平成27年度の改定でできました。

研修を受けないと資格がなくなりますか?

法令に資格の有効期限や更新の定めは見当たりません。ただ、自己研鑽の努力義務があるので、研修やセミナーで学び続けることが求められています。

福祉用具専門相談員のセミナーはどこで探せますか?

業界団体や都道府県の案内、事業所に届く案内などで探せます。テーマを決めてから選ぶと、現場で使いやすくなります。

まとめ

この記事の要点
  • 福祉用具専門相談員の研修は、なるための講習となった後の研修に分けて考える
  • なるための研修の正式な名前は指定講習で、53時間と修了評価がある
  • 初任者研修などの介護員養成研修では、福祉用具専門相談員になれない
  • 事業者には研修の機会を確保する義務、相談員には自己研鑽の努力義務がある
  • セミナーは今の困りごとからテーマを決めて選ぶ
  • 講習の日程や受講料は、都道府県や講習事業者の公式サイトで確認を
福祉用具専門相談員ガイド

福祉用具専門相談員ガイド 編集部

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