理学療法士・作業療法士と福祉用具専門相談員|講習なしでなれる?役割の違い

理学療法士・作業療法士が福祉用具専門相談員に講習なしでなれることと、役割の違いを紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が厚生労働省や都道府県などの公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。指定講習の内容や日程、受講料、介護保険の制度は都道府県や講習事業者、時期によって変わることがあるため、最新の情報はお住まいの都道府県や講習を行う事業者、厚生労働省の公式サイトで確認してください。

理学療法士や作業療法士として働いていて、福祉用具専門相談員の仕事も気になっている。でも講習が要るのか、リハビリの仕事と何が違うのか、迷いますよね。

結論から言うと、理学療法士も作業療法士も福祉用具専門相談員の要件に入っていて、指定講習を受けなくても働けます。

この記事を読むと、その根拠と、リハビリ職と福祉用具専門相談員の役割の違い、PT・OTが福祉用具の事業所で働く時に意識したいことが分かります。

目次

理学療法士・作業療法士は福祉用具専門相談員になれる?

先に結論

なれます。介護保険法施行令 第4条第1項の第4号が理学療法士、第5号が作業療法士です。どちらかの免許があれば、指定講習を修了しなくても福祉用具専門相談員の要件を満たします。

『調べてみたら講習の話ばかりで、理学療法士はなれないのかと思った』という方も多いはずです。

実は、講習の情報が多いのは、講習から入る人が8割強を占めるからなんです。国家資格のルートがあることは、条文を見るとはっきり分かります。

資格施行令の号指定講習現場の相談員に占める割合(令和6年10月1日現在)
理学療法士第4号受けなくてよい1.1%
作業療法士第5号受けなくてよい0.4%
指定講習の修了者第9号受けて修了する84%

割合は国の資料の数字で、複数回答です。条文はe-Gov法令検索の介護保険法施行令で読めます。

ほかに講習なしでなれる資格も含めた全体は、福祉用具専門相談員の資格要件で一覧にしています。

言語聴覚士や柔道整復師は?

リハビリに関わる資格でも、要件に入っていないものがあります。言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は、8つの国家資格に入っていません。

これらの資格の人が福祉用具専門相談員になるには、指定講習を修了するルートになります。『医療系の免許なら同じでしょ?』と思い込まないように気をつけましょう。

ただ、要件に入っていないからといって、福祉用具の仕事に向いていないわけではありません。講習を修了すれば、身体を見てきた経験はそのまま活かせます。

講習を受け直す意味はある?

理学療法士や作業療法士なら、指定講習を受けなくても要件は満たしています。そのうえで、用具の知識や計画づくりを学ぶ場として受講を考える人もいます。

今の指定講習は53時間あり、用具の特徴や貸与計画づくりを演習で学べます。リハビリの視点と制度の流れをつなげたい人には、学び直しの場になります。

補足

日程や受講の形式、受講料は事業者によって変わります。申し込む前に、お住まいの都道府県や講習事業者の公式サイトで最新の案内を見ておきましょう。

リハビリ職と福祉用具専門相談員は、何が違う?

ここが大事なところです

どちらも「その人らしい生活」を支える仕事ですが、かかわり方が違います。リハビリ職は身体の機能や動作に働きかけ、福祉用具専門相談員は用具と環境を整えて生活を支えます。

同じ利用者を支えていても、見ているところや仕事の進め方は違うんですよね。

どちらが上ということではなく、得意なところが違う仲間だと考えると分かりやすいです。比べると、次のようになります。

比べる点理学療法士・作業療法士福祉用具専門相談員
主にかかわること身体の機能や動作の練習、生活動作の工夫用具の選定、納品と調整、使い方の説明
主な書類リハビリの計画や記録福祉用具貸与計画、販売計画、モニタリングの記録
よく出向く場所病院、施設、訪問リハビリでの自宅利用者の自宅、事業所の倉庫
制度の上での立場選択制の提案で意見を求められる専門職貸与・販売の事業所に置く専門職
かかわる期間リハビリの計画の期間用具を使っている間ずっと
理学療法士・作業療法士と福祉用具専門相談員の役割の違いと、連携する場面を2列で比べた図解

役割の考え方は、福祉用具専門相談員の役割でも詳しく紹介しています。

制度の中でもリハビリ職の意見は大事にされている

貸与と販売を選べる用具では、福祉用具専門相談員が提案をします。その時、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの意見と、利用者の身体の状態を踏まえることが基準に書かれています。

選べる用具は、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖、多点杖の4つです。歩行に関わる用具が多いので、リハビリ職の見立てが特に役立つ場面なんです。

リハビリ職と福祉用具専門相談員が連携する場面

先に結論

連携が生きるのは、退院の前、用具を選ぶ時、使い始めてからの見直しの3つの場面です。リハビリ職の見立てと、相談員の用具の知識を合わせると、生活に合った用具が選びやすくなります。

『連携といっても、具体的に何を話すの?』と思いますよね。場面ごとに、よく話し合うことをまとめました。

場面リハビリ職から伝えること福祉用具専門相談員がすること
退院・退所の前今できる動作と、家で気をつけたい動き家の環境を聞き、必要な用具の候補を挙げる
用具を選ぶ時歩行器や杖の種類、手すりの高さの目安同じ種目で機能や価格帯の違う商品を示す
納品と調整実際の動作を見て気になる点高さや位置を調整し、使い方を説明する
使い始めてから動作の変化や、練習の進み具合モニタリングで用具が合っているか確かめる

令和3年度からは、退院・退所のカンファレンスに福祉用具専門相談員などがかかわることも明示されました。病院や施設のリハビリ職と、在宅の相談員が話す機会は増えています。

例えばこんな場面

退院を控えた利用者の自宅で、廊下に手すりを付けるかを話し合う場面です。

「この方は右手で支えると安定します。高さはこのくらいが合っていました」とリハビリ職が伝えます。相談員は「では、この位置で付けられる手すりをいくつか見てもらいますね」と、商品の候補を示します。

それぞれの得意なところを持ち寄ると、本人も家族も納得して用具を選べるんですよね。

相談員の側から伝えると喜ばれること

連携は、リハビリ職から教わるだけではありません。相談員の側から伝えられることもあります。

例えば、同じ歩行器でも重さや折りたたみ方が違う商品があること、貸与と販売を選べる用具では、それぞれのメリットとデメリットがあることです。

「この廊下の幅なら、こちらの型のほうが曲がりやすいです」と用具の側から伝えると、リハビリ職も練習の内容を考えやすくなります。モニタリングの記録はケアマネジャーにも渡るので、チーム全体で用具の様子を共有できます。

PT・OTが福祉用具の事業所で働く時の視点

先に結論

動作を見る目は大きな強みになります。一方で、用具の在庫や価格、納品の段取りといった、事業所ならではの仕事もあります。両方を知ってから働き方を決めると、入ってからのずれが少なくなります。

『リハビリの経験があれば、すぐに一人前になれるのでは』と期待する方もいるかもしれません。

ただ、福祉用具の事業所での仕事は、リハビリとは流れが違います。強みと、新しく覚えることを分けて見ておきましょう。

そのまま活きる強み
  • 動作を見て、用具が合っているか判断できる
  • 身体の状態に合わせた調整のポイントが分かる
  • 家族に介助の仕方まで添えて説明できる
新しく覚えること
  • 貸与の13種目と、販売の対象の用具
  • 全国平均貸与価格の説明と、複数商品の提示
  • 納品の段取りや、点検・消毒の流れ
理学療法士・作業療法士が福祉用具の事業所で働く時に、活きる強みと新しく覚えることを並べた図解

住まいの環境を見る力も活きる

福祉用具の仕事では、用具だけでなく住宅改修の相談にかかわることもあります。手すりの取付けや段差の解消、扉を引き戸に替えるといった工事です。

介護保険の住宅改修は、支給限度基準額が20万円で、原則として工事の前に申請します。用具で対応するか、工事で対応するかを考える時に、動作を見てきた経験が役立ちます。

『段差があるからスロープ』と決める前に、「この方はこの段差を、どう越えていますか」と動作から考えられるのは、PT・OTならではの見方ですよね。

「直接触れない」こととの付き合い方

福祉用具専門相談員の仕事は、用具の選定や使い方の説明が中心です。リハビリのように、身体に直接働きかける仕事とは違います。

ここは物足りなく感じる人もいれば、生活全体を見られて面白いと感じる人もいます。自分がどちらに近いかを考えておくと、働き方を選ぶ時の目安になりますよ。

働く前に確かめたいこと
  • 担当する利用者の人数と、訪問の範囲を聞く
  • 運転の有無と、用具の積み下ろしの量を聞く
  • リハビリ職としての経験を、どの場面で活かしてほしいかを聞く
  • 入社後の研修や、先輩への同行があるかを確かめる

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理学療法士・作業療法士からよくある相談

知恵袋などでよく見かける相談から、3つを選んで答えます。

理学療法士は、福祉用具専門相談員になれないの?

理学療法士の免許があるのに、講習の情報ばかり出てきて不安になった、という相談です。

理学療法士は、施行令 第4条第1項 第4号に入っているので、講習なしで要件を満たします。作業療法士も第5号に入っています。

講習の案内は、講習から入る人向けの情報です。自分の免許が8つの国家資格に入っていれば、受けなくても働けます。

柔道整復師や鍼灸師でも、講習なしでなれる?

理学療法士や看護師と同じように、厚生労働大臣の免許なら大丈夫かという相談です。

柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師は、8つの国家資格に入っていません。福祉用具専門相談員になるには、指定講習を修了する必要があります。

同じ医療や身体にかかわる免許でも、要件に入るかどうかは条文で決まっています。「免許の種類」ではなく「条文に名前があるか」で確かめるのが、迷わないコツです。

病院で長く働いた理学療法士。相談員の仕事はどんな感じ?

病院や施設でリハビリを長く担当し、在宅の訪問の経験は少ないという方の相談です。

福祉用具専門相談員の仕事は、相談、選定、計画づくり、納品と調整、モニタリングの流れで進みます。病院で動作を見てきた経験は、選定と調整の場面で役立ちます。

一方で、在宅では家の広さや段差、家族の介助の力など、病院とは違う条件があります。訪問に同行しながら、在宅ならではの見方を身につけていくとスムーズです。

在宅の訪問の経験が少なくても、心配しすぎなくて大丈夫です。動作を見る基礎があれば、家の条件を加えて考える練習を重ねることで、少しずつ慣れていけます。

仕事の流れは福祉用具専門相談員の仕事内容で詳しく紹介しています。

よくある質問

理学療法士の免許だけで、福祉用具専門相談員として働けますか?

働けます。介護保険法施行令 第4条第1項 第4号に理学療法士が入っているので、指定講習を受けなくても要件を満たします。

作業療法士も同じですか?

同じです。作業療法士は第5号に入っていて、講習なしで福祉用具専門相談員の要件を満たします。

言語聴覚士は福祉用具専門相談員になれますか?

言語聴覚士は8つの国家資格に入っていないので、指定講習を修了するルートになります。

PT・OTが福祉用具の仕事を経験すると、キャリアの幅は広がりますか?

用具と在宅の生活の両方を知ることは、リハビリの仕事に戻った時にも役立ちます。福祉用具プランナーの認定講習は、福祉用具関連業務に就いている理学療法士・作業療法士も受講資格に入っていて、実務の経歴は2年以上が条件です。

まとめ

この記事の要点
  • 理学療法士は第4号、作業療法士は第5号に入っていて、講習なしで福祉用具専門相談員になれる
  • 言語聴覚士や柔道整復師などは要件に入らず、指定講習を修了する
  • リハビリ職は動作に、相談員は用具と環境に働きかける
  • 退院前、選ぶ時、使い始めてからの3つの場面で連携が生きる
  • 事業所で働く前に、訪問の範囲や運転、研修の有無を確かめる
福祉用具専門相談員ガイド

福祉用具専門相談員ガイド 編集部

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